アジア人女性初 ノーベル文学賞 作家ハン・ガンはどんな人?どんな作品?

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2024年ノーベル文学賞を韓国人初・アジア人女性初として受賞した作家、ハン・ガン(한강、韓江)さん。
彼女の作風・主な作品・受賞歴についてまとめました。
それでは下の目次からご覧ください。

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経歴・作風

1970年光州広域市生まれ。延世大学国語国文学科卒。1993年、『文学と社会 冬号(문학과사회 겨울호)』で『ソウルの冬(서울의 겨울)』を含む5編の詩を発表しデビューする。翌94年、小説『赤い碇(붉은 닻)』がソウル新聞社に掲載され小説家デビュー。

人間の根源としての暴力性を探求する作風で、「人間はいかに暴力的であるか」と問いかけると同時に、「この世界はどれほど美しいか」という問いも作品に含まれている。暗く憂鬱な雰囲気の中でも世界の美しさを感じられるのがハン・ガン作家の作品の特徴である。( – イ・グァンホ教授)

朴槿恵政権下のブラックリストに掲載される

朴槿恵政権当時に政府が作成した「文化芸術ブラックリスト」にハン・ガン氏の名前も載っていたことがわかっています。
作家の故郷である光州で起きた「光州事件(5.18광주민주화운동 光州民主化運動)」を題材にした小説『少年が来る(소년이 온다)』を発表したことで、反政府的な文化人と見做されリストに載ったと考えられています。

主な作品まとめ

日本語に翻訳されているハン・ガン(韓江)作家の作品をまとめました。
(入荷時期により在庫切れあるいは在庫復活の場合があります)

【代表作】菜食主義者

韓国国内で「これまでハン・ガンが一貫して描いてきた欲望、死、存在論などの問題が、この作品に凝縮され見事に開花した」と高い評価を得たハン・ガンの代表作。
ごく平凡な女だったはずの妻・ヨンヘが、ある日突然、肉食を拒否し、日に日にやせ細っていく姿を見つめる夫(「菜食主義者」)、妻の妹・ヨンヘを芸術的・性的対象として狂おしいほど求め、あるイメージの虜となってゆく姉の夫(「蒙古斑」)、変わり果てた妹、家を去った夫、幼い息子……脆くも崩れ始めた日常の中で、もがきながら進もうとする姉・インへ(「木の花火」)―3人の目を通して語られる連作小説集

著:ハン・ガン, 編集:川口恵子, 翻訳:きむ ふな
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▼韓国語版

【BTSのVが読んだ】少年が来る

1980 年5月18 日、韓国全羅南道の光州を中心として起きた民主化抗争、光州事件。戒厳軍の武力鎮圧によって5月27日に終息するまでに、夥しい数の活動家や学生や市民が犠牲になった。抗争で命を落とした者がその時何を想い、生存者や家族は事件後どんな生を余儀なくされたのか。その一人一人の生を深く見つめ描き出すことで、「韓国の地方で起きた過去の話」ではなく、時間や地域を越えた鎮魂の物語となっている。

BTSのVがインスタのストーリーズで「作家ニム!『少年が来る』を軍隊で読みました。ㅠㅠおめでとうございます!」とアップ
著:ハン・ガン, 翻訳:井手 俊作
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▼韓国語版

【最新翻訳作】別れを告げない(11/30発売)

済州島を舞台に、生きる力を取り戻そうとする女性同士が、歴史に埋もれた人々の激烈な記憶と痛みを受け止め、未来へつなぐ再生の物語

作家のキョンハは、虐殺に関する小説を執筆中に、何かを暗示するような悪夢を見るようになる。ドキュメンタリー映画作家だった友人のインソンに相談し、短編映画の制作を約束した。
済州島出身のインソンは10代の頃、毎晩悪夢にうなされる母の姿に憎しみを募らせたが、済州島4・3事件を生き延びた事実を母から聞き、憎しみは消えていった。後にインソンは島を出て働くが、認知症が進む母の介護のため島に戻り、看病の末に看取った。キョンハと映画制作の約束をしたのは葬儀の時だ。それから4年が過ぎても制作は進まず、私生活では家族や職を失い、遺書も書いていたキョンハのもとへ、インソンから「すぐ来て」とメールが届く。病院で激痛に耐えて治療を受けていたインソンはキョンハに、済州島の家に行って鳥を助けてと頼む。大雪の中、辿りついた家に幻のように現れたインソン。キョンハは彼女が4年間ここで何をしていたかを知る。インソンの母が命ある限り追い求めた真実への情熱も……
いま生きる力を取り戻そうとする女性同士が、歴史に埋もれた人々の激烈な記憶と痛みを受け止め、未来へつなぐ再生の物語。フランスのメディシス賞、エミール・ギメ アジア文学賞受賞作。

▼予約受付中

白水社
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ギリシャ語の時間

ある日突然言葉を話せなくなった女。すこしずつ視力を失っていく男。女は失われた言葉を取り戻すため古典ギリシャ語を習い始める。ギリシャ語講師の男は彼女の ”沈黙” に関心をよせていく。

著:ハン・ガン, 翻訳:斎藤真理子
¥2,975 (2024/10/12 11:44時点 | Amazon調べ)

ある日突然言葉を話せなくなった女。
すこしずつ視力を失っていく男。

女は失われた言葉を取り戻すため
古典ギリシャ語を習い始める。
ギリシャ語講師の男は
彼女の ”沈黙” に関心をよせていく。

ふたりの出会いと対話を通じて、
人間が失った本質とは何かを問いかける。

★『菜食主義者』でアジア人作家として初めて英国のブッカー国際賞を受賞したハン・ガンの長編小説

★「この本は、生きていくということに対する、私の最も明るい答え」――ハン・ガン

すべての、白い物たちの

朝鮮半島とワルシャワの街をつなぐ65の物語が捧げる、はかなくも偉大な命への祈り。

著:ハン・ガン, 翻訳:斎藤真理子
¥842 (2024/10/11 17:36時点 | Amazon調べ)

アジア初のブッカー国際賞作家による奇蹟の傑作が文庫化。おくるみ、産着、雪、骨、灰、白く笑う、米と飯……。朝鮮半島とワルシャワの街をつなぐ65の物語が捧げる、はかなくも偉大な命への祈り。
生後すぐに亡くなった姉をめぐり、ホロコースト後に再建されたワルシャワの街と、朝鮮半島の記憶が交差する。
文庫化にあたり、訳者の斎藤真理子による「『すべての、白いものたちの』への補足」、平野啓一郎による解説「恢復と自己貸与」を収録。

【詩集】引き出しに夕方をしまっておいた

ハン・ガンによる詩60篇を、著者の小説を手掛けてきた翻訳家きむ ふなと斎藤真理子の共訳により刊行。巻末に収録した翻訳家対談では、韓国における詩の受容や詩人としてのハン・ガンなど、広く深みのある話が繰り広げられており読者を韓国の詩の世界へ誘う格好のガイドとなっている。

著:ハン・ガン, 翻訳:きむ ふな, 翻訳:斎藤真理子
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【エッセイ集】そっと 静かに

「歌は翼を広げて、私たちの生の上へと滑り出す。歌がなくて、その翼で生の上へと滑空する瞬間すらもなかったら、私たちの苦しみはどれほど重さを増すだろうか」――本文より
ハン・ガンが「書きたいのに、書けなかった」と回想する時期に生まれた本書には、音楽との出会い、さまざまな思い出にまつわる歌、著者自身がつくった歌について綴られている。著者の繊細な感性に触れるエッセイ集の初邦訳。巻末にはオリジナルアルバムの音源情報も収録!

著:ハン・ガン, 著:古川 綾子
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回復する人間

作家が32歳から42歳という脂の乗った時期に発表された7篇を収録した、日本では初の短篇集。大切な人の死や自らの病、家族との不和など、痛みを抱え絶望の淵でうずくまる人間が一筋の光を見出し、ふたたび静かに歩みだす姿を描く。

著:ハン・ガン, 翻訳:斎藤 真理子
¥3,679 (2024/10/11 19:44時点 | Amazon調べ)

朝日新聞4/30「折々のうた」で紹介「明るくなる前に」所収
李箱文学賞、マン・ブッカー国際賞受賞作家による珠玉の短篇集
痛みがあってこそ回復がある

大切な人の死や自らの病、家族との不和など、痛みを抱え絶望の淵でうずくまる人間が一筋の光を見出し、ふたたび静かに歩みだす姿を描く。

『菜食主義者』でアジア人初のマン・ブッカー国際賞を受賞し、『すべての、白いものたちの』も同賞の最終候補になった韓国の作家ハン・ガン。本書は、作家が32歳から42歳という脂の乗った時期に発表された7篇を収録した、日本では初の短篇集。

「明るくなる前に」:かつて職場の先輩だったウニ姉さんは弟の死をきっかけに放浪の人になる。そんな彼女を案じていた私に3年前、思わぬ病が見つかる。1年ぶりに再会した彼女が、インドで見たというある光景を話してくれたとき、小説家の私の心は揺さぶられる――ウニ姉さんみたいな女性を書きたい、と。

「回復する人間」:あなたの左右の踝の骨の下には穴があいている。お灸で負った火傷が細菌感染を起こしたのだ。そもそもの発端は姉の葬儀で足をくじいたことだった。ずっと疎遠だった姉は1週間前に死んだ。あなたは自分に問いかける。どこで何を間違えたんだろう。2人のうちどちらが冷たい人間だったのか。

大切な人の死や自らの病気、家族との不和など、痛みを抱え絶望の淵でうずくまる人間が一筋の光を見出し、再び静かに歩み出す姿を描く。現代韓国屈指の作家による、魂を震わす7つの物語。

[目次]
明るくなる前に
回復する人間
エウロパ
フンザ
青い石
左手
火とかげ

訳者あとがき

主な受賞歴

1999年に第25回韓国小説文学賞を受賞。

2005年、小説『蒙古斑(몽고반점)』で韓国の文学賞で最も権威があるとされる「李箱(이상、イ・サン)文学賞」を受賞。審査員7人による満場一致だった。父親であるハン・スンウォン(한승원、韓勝源)も1988年に小説『海辺の旅人(해변의 길손)』で同賞を受賞しており、初の親子受賞となる快挙を達成した。

2016年には小説『채식주의자(菜食主義者)』で世界的に有名なイギリスの文学賞、ブッカー賞の国際部門を受賞。

2024年にアジア人女性初となるノーベル文学賞を受賞した。

父親も有名小説家

左:ハン・スンウォン作家(父) 右:ハン・ガン作家(娘)

ハン・ガンの父親、ハン・スンウォン(한승원、韓勝源)も有名な小説家である。
彼の作風は、故郷である南海(남해)を舞台に色彩美とその土地の言葉を使った歴史的・民族的な話を通し「恨(한、ハン)」の感情を表現していると評される。
1988年に小説『海辺の旅人(해변의 길손)』で韓国で最高権威の文学賞である「李箱(이상、イ・サン)文学賞」を受賞。娘ハン・ガンも2005年に同賞を受賞している。

韓国国内の盛り上がり

事前予想に名前が挙がっていなかったこともあり、韓国国内では喜びと同時に驚きの声もあがっています。
大型書店「教保文庫(교보문고)」では特設コーナーが作られ、長い列ができていたとのことです。

ハンガン氏の本を求めて人気大型書店、教保文庫の光化門店に並ぶ人々。

オンラインの書籍ランキングは1位から10位までハンガン作家の本で独占されています。

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