この度、イラストを担当されたhassakuさまより、『韓国時代劇のすべて』をご恵贈いただきました。ありがとうございます。ご出版おめでとうございます!
朝鮮王朝の重大事件のマンガ要約、王妃・側室・女官など宮廷の女性たちの役割や生活、当時の人々の服装や思想などがたくさんの可愛いイラストと共にわかりやすくまとめられています。単純に読み物としても面白いです。スラスラ読めながらも読み応えのある1冊。朝鮮王朝の時代劇好きなら1冊携帯必須のガイドブックです!
・儀式の時に王様が被る帽子のジャラジャラの意味は?
・女官でリボンをつけている人としていない人の違いは?
・景福宮と他の王宮の役割の違いは?
…時代劇を見ながらなんとなくわかったつもりで見逃していたポイントについて理解できるので、好きな作品を見返したり新作時代劇を見るときにさらに深い理解で作品を楽しめるなと思います。
そこで今回は当書と一緒に楽しめるおすすめの時代劇や映画について紹介します!
一緒に楽しみたい時代劇ドラマ&映画5選
イジョンジェの登場シーンは今も伝説 映画「観相師」
まず一つ目のおすすめが映画「観相師(관상)」。ソンガンホ、イジョンジェ、キムヘス、チョジョンソクなど豪華な顔ぶれです。ソンガンホ演じる主人公は人の顔から性格や人物像を読み解く「観相師」。事件の真犯人などを観相で見抜く力を買われ、なんと次の王にふさわしい人物を見るように命じられます。そこに絡まる朝鮮王朝史上最も凄惨なクーデターが彼の人生を大きく変えていきます。
この本で紹介されている首陽大君のクーデターがこの映画のモデルになった事件です。首陽大君の暴君っぷりをイカゲームの主演イジョンジェが演じています。彼の登場シーンは韓国映画史に残る名場面として伝説になっています。
Amazonプライムビデオ、UNEXT、Leminoなどで配信中。
王と世子の確執「王の運命 -歴史を変えた八日間-」
当書でわかりやすく紹介されている「思悼世子餓死事件」を描いたのがこちらの映画「王の運命(さだめ)-歴史を変えた八日間-」です。原題は「사도(サド、思悼)」。
父である王をソンガンホが、息子の思悼世子をユアインが演じています。ある日王が世子を死ぬまで米櫃に閉じ込めろと命じます。その前代未聞の王命が下るまで、2人の間には何があったのか。地位に縛られ互いの心を開けないまま歪んでいく2人の関係が丁寧に描かれています。
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一つの歴史、二つの視点「トンイ」と「チャンオクチョン」
韓国3大悪女のうちの一人、「張禧嬪(チャンヒビン)」。第19代国王・粛宗(スクチョン)に見初められ女官から側室、さらに王妃にまで上り詰める人物です。粛宗、仁顕(イニョン)王妃、禧嬪、淑嬪・崔氏(スクピン・チェシ)をめぐる権力争いや愛憎劇は朝鮮王朝の歴史の中でもかなり有名な話で、当書でもマンガでわかりやすく描かれています。
まず日本でも大人気だったハンヒョジュ主演の時代劇「トンイ(동이)」。今でもBSでほぼ一年中放送されています。淑嬪・崔氏が主人公の物語で、明るく聡明なキャラクターとして描かれたことで、あまり知られていなかった淑嬪の知名度や好感度が一気に高まりました。時代劇ファンにはお馴染みの作品ですが、未視聴の方は是非。時代劇の入り口としても非常におすすめです。

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そしてそのライバル禧嬪を主人公にしたドラマが「チャンオクチョン(장옥정)」です。禧嬪をキムテヒ、王・粛宗をユアインが演じています。美しく聡明な女官・オクチョン(のちの禧嬪)が粛宗に出会い、王妃にまで上り詰めるシンデレラストーリーとそこからの転落について、ドラマチックに描かれていて面白いです。トンイでは明るく真っ直ぐなキャラクターとして描かれていた淑嬪・崔氏は、この作品ではずる賢くいじわるな女性として登場します。

実際に起こった事実は一つですが、この2つの作品を通して真逆の視点で楽しんでみるのも面白いと思います。史実はどちらの視点により近いのか…。張禧嬪って、トンイって本当はいい人?悪い人?…それはぜひ当書でご確認を。
Amazonプライムビデオ、ABEMA、Huluで配信中。
王妃キムヘスのゴッドマザー記「シュルプ」
Netflixオリジナルシリーズ「シュルプ(슈룹)」。シュルプというのは、昔の韓国語で「傘」という意味です。その名の通り架空の時代の朝鮮王朝にて王妃が傘となり陰謀渦巻く宮廷で自分や子供、さらに側室やその子たちまで後宮を懸命に守り抜くストーリー。見たら強く優しく厳しい包容力抜群の王妃(キムヘス)の虜になること間違いなし。
架空の話であって史実ではないですが、当書の後半にある王族の生活などの描写がこのドラマも細かく描かれており、実際の説明と照らし合わせながら見ると「ここはドラマの演出かな」「ここは本の通りだ!」のようにより深くドラマを楽しめると思います。
燕山君とチャンノクスの悪役ぶりが魅力「逆賊」
当書に登場する稀大の暗君・燕山君と、妓生の出身ながら彼の寵愛を受け側室にまで上り詰めた朝鮮王朝3大悪女の一人「チャンノクス(張緑水)」。ドラマ「逆賊-民の英雄ホン・ギルドン-(역적 : 백성을 훔친 도적)」では実在したとされる盗賊が燕山君を倒すべく立ち向かうという話です。特にこのドラマのチャンノクスの描き方が魅力的なのでおすすめの作品です。妓生から宮廷に入り周りの冷たい視線を受けながらも気高く、皆が恐る暴君にも自我を貫き、絶対的な寵愛を勝ち取るまでのストーリーが印象的です。
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好きな時代劇がさらに面白くなる!
当書は朝鮮王朝の重大事件の紹介、時代劇の柱になる主要俳優一覧、官僚の階級制度や王妃・側室・女官の生活、時代ごとの韓服や髪型の説明、当時の話し方など韓国時代劇のベースの知識になる情報が盛りだくさんで図解されています。
上で紹介したおすすめドラマ以外にも、好きな時代劇がある方なら誰でも必読のガイドブックです。ストーリーや俳優の演技だけでなく、服装や言葉遣い、階級の違いなどにも注目してより深くドラマを楽しめると思います!