韓国語の「はい」、なぜネーやデーやイェーに聞こえるのか ハングル・発音

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韓国語の「はい」がネーやデーやイェーに聞こえると言う学習者が多いです。その理由について説明します!

まず、韓国語の「はい」は네と예の2つあります(예の方がより丁寧)。なので韓国ドラマなどで「はい」と言う時ネーやイェーが聞こえるのはそのどちらかを言っているからです。「네(ネー)と言ってるのにイェーと聞こえる」ということはありません。

でも、たまに韓国人が네(ネー)と言っているのに「デー」に聞こえる時があります。これは日本人だけでなく欧米の学習者も同様だそうです。でも韓国人にこれを質問しても「いや、デーなんて言ってない」と返されることが大抵です。

なぜこの認識のズレが生じるのでしょうか?

それは「韓国人が네と言う時、意識せずにDの音が出ることがある」です。

よかった…!聞き間違いじゃなかった!Dの音言ってるよね?

Hana
Hana

正確には「Dの音が入ることがある」だね

どういうことかというと、英語のNや日本語のナ行は舌が上顎に密着して発音します。わかりやすく言うと「んな〜」と言う感じ。そうなると、Nの音がクリアに聞こえます。

それに対して、韓国語は니은を発音する時の舌の密着が弱くなることがあります。弱くなっても니은と認知されるのです。言い換えると、니은を発音する時にその後の母音もほぼ同時に発音されがちです。

니은は鼻にも息が送られる鼻音です。その後ろに来る母音は口音といって口から息が出ます。それがほぼ同時に発音されると言うことは、니은を発音する時に舌が密着というよりか、上顎をちょっと叩くような形になります。

舌が上顎を叩いて発音される音、それが「D(디귿、ダ行)」です。なのでわれわれ外国人は「え、今네なのにデーって言わなかった?」と耳が反応するのです。Nは舌が密着して鼻に息が流れる鼻音なのに、舌の密着が弱く口から発せられるNを聞いたら「もうそれN(ネー)じゃなくない?D(デー)じゃない?」とセンサーが反応するのですね。ちなみに「ㄴ+母音」を発音するときにDの音が出ることを音声学では「わたり現象」と言います。このDの音を「出渡り音」と言ったりします。

勘違いしてはいけないのが、니은を発音する時に毎回Dの音が出ているわけではないということ。特にネーがデーに聞こえやすい場面は、「強い感情や呆れて息が多く出る時」と、逆に「疲れたりやる気がなく力の抜けた音になる時」です。前者は息が強く出るので舌が上顎をたたくようになってDの音が出ます。後者は舌が脱力してNの下と上顎との密着がかなり弱まりDに近づく感じです。

このとき네を発音記号で書けば/nde/となるでしょう。

でも、「니은と母音」を言う時に自動的にDの音がでているのであって、韓国人は「Dの音を入れるぞ!!」と意識して言っているわけではありません。なので、韓国人の耳には「네を強く(あるいは弱く)言ってるだけで、데なんて言ってないよ??」と聞こえるわけです。これが韓国人に「なんでネーをデーと発音するの?」といくら聞いても通じない理由です。

これは네だけではなく、니은で始まる言葉の多くに当てはまります。例えば、「누구(ヌグ、誰)が두구(ドゥグ)みたいに聞こえる」、「나가(ナガ、出ていけ)が다가(ダガ)みたいに聞こえる」、「네가(ニガ、お前が)が디가(ディガ)みたいに聞こえる」と言った感じです。

でもよく聞いてみると、クリアなDで発音していると言うより、NとDが混ざったような音に聞こえるはずです。なぜならㄴを言う時に強く(あるいは弱く)なってDの音が出ている状態なのですから。

学習者のなかには、「韓国人みたいにデーみたいなネーを言えるようになりたい」と思う人がいるでしょう。これに対して韓国語教師はよく「この発音を真似る必要はない!」と答えますが、ネイティブの発音に憧れて近づきたいと言う感情は言語学習者にとって自然なことだと思います。

コツをあげるなら、ナ行よりも舌をちょっと前歯にかむかも?くらい前に出し、Nを言う時に息もいっしょに口から出します。Nの音と息を同時に口の前に放つイメージです。そうするとNの舌と上顎の密着が弱まりながらも、Dほど強く舌が上顎を叩かない程度の/nd/の音が出ると思います。

ただし、韓国語教師の多くが言う通り、これは韓国人が感情に乗せて発音して自然に出る音であり、意識して発音されるものではないため、練習して身につけるべき必須の発音ではありません。「それよりももっとㄴパッチムとかㅇパッチムとか抑揚とか濃音とか連音化とか練習しようよ…」という先生たちの気持ちもわからなくありません。笑

そして「結局学習者は니은をどう発音すべきか」という問い。韓国人の네がデーに聞こえるからと学習者が「デー」と言ったら/nde/よりも/de/に近くなるのは明白で、네を/ne/と言って不自然なことはないので、学習者は니은は/n/(ナ行)で発音するのが安全と言えるでしょう。

まとめると、「日本人や欧米の学習者はネーがデーに聞こえるのは自然なこと、だってDの音が入る時があるので」「でも韓国人はそれに気づいていない(意識してDを言っているわけではない)ので質問されても通じないことがほとんど」となります。

そしてこの問いは「뭐(ムォ、何)が붜(ブォ、ボォ)みたいに聞こえる」という「ㅁがBに聞こえる問題」にも共通するのですが…この説明はまた今度。

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