少女時代ユナ&イ・チェミン主演のタイムスリップ時代劇「暴君のシェフ(폭군의 셰프)」。
韓国での視聴率が初回4.9%から第6話12.7%まで急上昇中の話題のtvN新作ドラマ。日本でもNetflixで配信中で、総合ランキング1位を記録しています。
そんな話題のドラマ「暴君のシェフ」は、朝鮮王朝に実在した史上最も凶暴な王とされる燕山君と彼の施政をモチーフにしています。
燕山君はどんな王で、何をしたのか?
ドラマの王イホンも同じく悲惨な最後を遂げてしまうのか?
このページでは、知るとよりドラマが面白くなる燕山君の史実についてご紹介します。

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あらすじ・見どころ
天才フレンチ料理人のジヨンは朝鮮時代にタイムスリップ。そこに現れたのは暴君として悪名高い王、イ・ホン。絶対味覚を持つ彼に気に入られ、宮廷料理の最高職「待令熟手」に任命されてしまう。果たしてジヨンは陰謀渦巻く王宮で暴君に仕えながら無事に現代に戻れるか?そしてイ・ホンは史実の通り悲惨な最期を遂げてしまうのか?
登場人物やキャスト、視聴方法などの詳細情報は下の記事で紹介しています。

イ・ホンのモデルは朝鮮王朝最悪の暴君「燕山君」

ドラマの原作は韓国のWeb小説・연산군의 세프로 살아남기(燕山君のシェフとして生き残る)です。NAVERコミックのアプリで配信中です。物語は主人公ジヨンが実際の王様燕山君の宮廷料理人として働く姿を描いています。
ドラマとして実写化するにあたり、歴史上の人物である燕山君から架空の王様、燕熙君(イ・ホン)に変更されています。イ・ホンは、幼少期に母が廃妃となり謎の死を遂げたトラウマを持つ暴君という設定。権力闘争の陰謀渦巻く王宮で孤独を極めている若き王です。
モデルの燕山君も母の死が原因で暴君の道をたどります。
では、燕山君の母はなぜ廃妃になり命を落としたのでしょうか?
燕山君の母・ユン氏が大事件を起こす
燕山君は、成宗7年(1476年)王・成宗と中殿・尹(ユン)氏の間に長男として生まれた적장자(嫡長子)。正室が産んだ長男というこれ以上ない正当な形で王の後継者として誕生したのが燕山君でした。この慶事に国中が湧いたことでしょう。
しかし、その幸せは長くは続きませんでした。
成宗10年(1479年)6月1日、ユン氏の誕生日に事件が起こります。正室の誕生日にもかかわらず、王はその日別の後宮の居所に足を運んでいました。これに激怒したユン氏は王のもとを訪ね、口論になった際に王の顔を爪で引っ掻いてしまいました。君主の顔に傷をつけるという大罪を犯したユン氏は、翌日廃妃にされ宮廷から追放されてしまいます。
これがユン氏廃妃事件です。
そして廃妃から3年後の成宗13年(1482年)、ユン氏は王から賜薬(死薬)を下され絶命します。燕山君が7歳の時でした。

ドラマではよく血の付いた廃妃の服を燕山君が目にして発狂するという場面が描かれますが、これは史実にはありません。「暴君のシェフ」でも11話で同様の場面が描かれましたね。
燕山君は母の死で暴君への道を歩み始めたのか?
いいえ。当時、燕山君は母が亡くなったことさえ知りませんでした。
母の死を知った燕山君は、歴史に残る粛清を実行
廃妃ユン氏の死去当時、成宗は周囲の人間に対し、燕山君にその事実を伝えることを禁じました。燕山君は母の死について何も知らないまま、ユン氏の次に中殿になった貞顯王后(정현왕후)を実の母親だと思いながら育ちました。

ドラマではイ・ホン本人が母が廃妃される場面を目撃するという設定になっていますね。
そして成宗が亡くなり即位したのち、燕山10年(1504年)ついに燕山君は母の死の経緯を知ってしまいます。
家臣「ユン氏廃妃事件は成宗の後宮オム氏とジョン氏の策略によるものです…」
家臣から母の死の経緯を聞かされた燕山君は、怒りのあまりその場で立ち上がり、王宮にいたオム氏とジョン氏を拘束し、彼女たちの息子に実の母親を殴打させ、自身も暴行に加わり2人の命を奪ってしまいました。
その足でオム氏とジョン氏の息子を連れ大妃(燕山君の祖母)のもとに向かい、母の死について厳しく追求します。その後ほどなくして大妃は息を引き取ってしまいました。因果関係はわかっていませんが、この件の精神的ショックによるものだと考えられてます。

ドラマで絶大な権力を握っている大妃(イ・ホンの祖母)の今後が気になりますね…
→11話でまさかの展開でした…
その後、燕山君は7ヶ月という期間でユン氏の廃妃事件に賛成・加担した全ての関係者を洗い出し、次々と粛清しました。その数は200人にのぼるとされています。この朝鮮王朝の歴史に残る大粛清を「甲子士禍(갑자사화)」と言います。
燕山君による「恐怖政治宣言」とその最期
粛清を終えた燕山君は、燕山10年(1504年)5月7日、こんな宣言をします。
王に背く者は誰であってもみな処罰を与える
燕山君による本格的な恐怖政治の始まりが幕を開けました。
毎晩酒と女性に明け暮れ、歯向かう者は問答無用で処罰し、暴政を極めていきます。
しかし燕山君の暴政もついに終わりを迎えます。
燕山12年(1506年)、我慢の限界に達した臣下たちは朝鮮王朝史上初のクーデター(반정、反正)を起こします。臣下と軍士たちが宮廷に入り込み、燕山君は王位から降ろされます。玉璽を手にした反乱軍は、中宗を王に据えます。
このクーデターのことを중종반정(中宗反正)と言います。

ドラマでも「パンジョン、パンジョン」と言っています。반정(反正)=クーデターです。
中宗反正が成功するのにかかった時間はわずか1日足らず。
史上最悪の暴君のあまりにあっけない最後でした。
廃位された燕山君は江華郡キョドン島に流刑され、2ヶ月後の中宗1年(1506年)11月6日(陰暦)、疫病によって命を落とします。亡くなるときは「申氏(正室)に会いたい」という一言を遺しています。

あれだけ寵愛していた張緑水(チャン・ノクス)ではないところがこれまた興味深いです。
https:/hanakan-korean.com/18198/
イ・ホンは本当の暴君になるのはこれから
イ・チェミン演じる王イ・ホン(燕熙君)は、禁標(クムピョ、民の住居を狩場として奪うこと)や採紅(チェホン、全国から女性を集め王の後宮候補とすること)、さらに自らに逆らった家臣を流刑に処すなどの行いによって人々から暴君として恐れられています。
彼の狂気的な行いの裏には、幼い頃に母が廃妃され宮廷から追い出される様子を目撃したというトラウマがあるというふうに劇中で描かれています。イ・ホンは母の死の真相を密かに探っており、真犯人はまだ明かされていません(6話時点)。
モデルとなっているのは燕山君の母の廃妃事件。実際の王・燕山君は母の死の真相を知って、歴史に残る粛清「甲子士禍(갑자사화)」を行います。
史実の通りなら、イ・ホンが本当に暴君になるのはこれからです。
それをジヨンが止められるのか?
でも止められたとしても、イ・ホンが助かるにはどのみち歴史を変えるしかないのです。
なぜなら彼の名前は「燕熙君」だからです。
イ・ホンが助かるには歴史を変えるしかない
1話でジヨンとイ・ホンが出会い、「燕熙君(ヨンヒグン、ヨニグン)」と呼んでもイ・ホンは誰のことかわかっていません。
それには理由があります。
朝鮮王朝の王の名前は、王の死後に臣下たちが王の功績を評価しながらつけるからです(廟号=묘호)。したがって、王としての名前は王自身が知ることはありません。
王には「宗(종)」や「祖(조)」の文字がつけられます。
「トンイ」の時の王様は粛宗(숙종、スクチョン)、ハングルを作った大王は世宗(세종、セジョン)です。
しかし、燕山君は「君(군)」です。王の座から降され廃位になったため、王の名はつけられないのです。
ドラマでの燕熙君も同様に、いずれクーデターによって王の座から降されることが名前からわかります。
燕熙君(イ・ホン)が助かるには、燕熙君になってはいけないのです。
つまり歴史を変えなければいけません。
ジヨンはイ・ホンのために歴史を変えるのか?
そうだとして無事に変えられるのか?
今後の展開がますます楽しみになったかなと思います。
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