韓国人と仕事をしていると、ふと不思議に思うことがあった。
「マウントをとる」という言葉、韓国語にはぴったりハマる表現がない。
韓国人だって自慢はするはず。なのになぜ、彼らの話は「マウント」に聞こえないのか?
[ポイント] この記事の要約
- 韓国語には「マウントをとる」と1対1で合う言葉がない
- 韓国は「事実を言うこと」と「自慢」を切り離して考える文化
- 言いたいニュアンスに合わせて3つの表現を使い分けるのが正解
「マウントをとる」の韓国語がない
「マウントをとる」の韓国語、ないんですよ。
正確にいうと、「マウントをとる」に直接対応する韓国語がない。
なので、「マウントをとる」の説明も韓国語でするのも大変だし、マウントをとると言いそうになった時にちょうどいい韓国語を考えるのも結構大変。
で、思ったこと。
「なんでないの??????」
もちろん「マウントをとる」という日本語も近年できた表現なので、それに対応する韓国語がまだ生まれていないだけかもしれないが、それでも「マウントをとる」という言葉ができてから数年は経っている。スピード感の鬼の韓国なので、言葉ができた数ヶ月後に韓国で広まっていてもおかしくないはずだ。
韓国には「マウントをとる」ことがないのか?いや、韓国だって自分の財産や学歴をひけらかしたり、それで相手にマウントをとる(ああ、結局使っちゃうこの言葉)ことだってあるだろう。韓ドラでも見るぞ。
でも普段韓国人と仕事していて、「親が社長です」「有名大学出身です」「昔から頭が良かったです」といった内容の話を聞くことは普通にあるが、その時に不思議とマウントをとられている感じはしない。
…ひょっとして、これは言語の構造や認知の違いなのでは?
AIに聞いてみる。
AIに聞いてみた
私
「マウントをとるって言葉に対応する韓国語がない気がするんだけど、実際に韓国で出会った人から自分や家族の輝かしい経歴を聞いたりしても、自慢げというより事実を並べているように感じられるんだよね。これは個人の性質というより、日韓の言葉の構造や認知の差がでているじゃないだろうか」
AI(geminiくん)
日本語は、主語をぼかし、語尾を濁らせることであわいを作ります。その副作用として、言外のニュアンスを読み取る機能が過剰に発達しています。
例えば、『タワマンに住んでて〜外資系で働いてるんだけど〜』と語る人がいると、その『〜(あわい)』の部分に受けては勝手に『だから私はあんたより上なのよ、察してね』というメタメッセージを補完してしまいます。
マウントの正体:日本語では「事実を言うこと」そのものが相手との相対的な位置間確認として機能してしまうため、ただのデータ出力がマウントに変換されやすいのです。
一方、韓国語は「主語」と「述語」を明確に言語化します。
「私はタワマンに住んでいる。外資系に通っている。年収はこれくらいだ(確定)。」と言うと、これは単なる自己紹介(履歴書の開示)になります。韓国語は겠のような自分の意志や主観を表す言葉が存在し、主観と客観をそれぞれ明示する機能を持つ表現が存在するので、事実を言うことに「裏の含み」を持たせる必要や感じさせる余地がありません。
彼らにとっての自慢は「事実を言うこと」でなく、「だから私はすごいだろう!」という能動的なアピール(表情・仕草・言動など)を実行したときだけです。事実の提示は単なるデータの開示として話し手にも聞き手にも処理されます。
そしてここにも儒教のOSが効いています。韓国社会はもともと「学歴・職業・年齢」で明確に序列分けする社会です。1歳差でも上下が決まるように、序列が透明化されていることが人間社会としての秩序と平和につながるという考えの社会です。経歴について事実通りに明かすことは「自分の立ち位置を正しく申告する」という序列の透明化に役立つ行動として受け入れられます。
※GeminiはAIであり、間違えることがあります。
ほーーーーん。
要するに
- 韓国社会はもともと学力や職業や年齢によって相手と自分の序列を透明化することを秩序としてきたから、事実の提示だけでは自慢にならない
- 日本は省略が多い言語なので、事実の提示だけでもその裏を読んでしまう(察する)言語
- 韓国語は事実の提示(客観)と意思や感情(主観)の区別が語法単位でできてしまうため、事実の提示だけでは嫌な自慢(感情表現)になりにくい
AIなので100%信頼できるわけではないが、私の韓国経験と照らし合わせても個人的には納得が行く回答。
恩師(韓国人、日本の大学教授)とも共有して、検討を深めていきたい。
じゃあ、「マウントを取る」と韓国語で言いたい場合、なんと表現するべきか。
「マウントをとる」と韓国語で言いたい時
자랑질하다(低レベルな自慢)
「자랑(自慢)」に、行為を卑下する「-질」をつけた言葉。相手が事実を淡々と述べればいいのに、明らかに「ドヤ顔」で聞いてもいない情報を垂れ流している状態。マウントをとってくるということより「うざい自慢を繰り返す」という質の低さに焦点が当たっている表現。
기를 죽이다(相手を萎縮させ、相手のエネルギーを殺す)
直訳すると「気を殺す」。自分の優位性を誇示することで相手を萎縮させ、相手の存在感を消そうとする攻撃的な行為。マウントをとって「相手を黙らせたい」という行動に使うのが適している。
갑질하다(地位や権限の悪用)
契約関係で使われる甲(갑)と乙(질)を使った表現。「パワハラ」の韓国語としても使われている。契約関係では甲(갑)が乙(질)に横暴な態度を取ることが多いことから、社会的地位が高い者が相手を見下した態度をとるときに使われる。「パワハラ」同様、上に立つ者が立場を利用して弱い立場の人間に不当な圧力をかける時に使う。
このように、「マウントを取る」と韓国語で言いたいときは、具体的に何を指したいのかを考えてからそれにあった表現を探すのがよいということですね。
「マウントを取る」をどう説明するか
「マウントを取る」ってなんですか?と韓国人に聞かれたときのために、説明できるようになっておかなきゃならない。
私が認識している「マウントを取る」の意味
- 単純な自慢を超え、お前より私が上だという優位性を表す
- 「私の方が上だ」と直接言及しないが、そのニュアンスを相手に感じさせるような表現
- その場の空気を嫌な感じにする
まとめ
- 「マウントをとる」に1対1で対応する韓国語がない
- 韓国は序列を透明化して相手との接し方を決めるのが社会の秩序だったため、序列を事実として提示するだけではマウントになりにくい…のかも(要検証)
- 「マウントをとる」と韓国語で言いたいときは、「自慢の質の悪さ」か「相手を黙らせる行動」か「上→下への立場の悪用」かであった表現を選ぶ













